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吉田 正章

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解析的微分方程式の解の視覚化と離散化

吉田 正章(数理学府)
学位:理学博士(東京大学)
専門分野:微分方程式
ユニット:機能数理の基礎

活動報告書

解析的微分方程式の理論は「産業向けの数学」からは縁遠いものと思われてきたかもしれないが、最近の研究で、意外な結びつきがあることが以下に説明するように、次第に明らかになってきた。

Euler-Gaussの超幾何微分方程式に幾何的意味を与えたのが19世紀末にSchwarz(以後黒と記す)の創始した黒写像の理論であった。その複素高次元化が20世紀を通じて行われ、現在も進行中である;対称空間の幾何、保型形式、代数幾何、微分方程式の交叉する分野である。

約4年程前に私は黒写像の改良版の又黒写像を提唱し、その重要性を訴えてきた;それは的空間を3次元又曲空間に持ち、像は平坦波面と呼ばれる、性質のよい曲面である。超幾何微分方程式に代表されるような特殊微分方程式、解の特殊関数が、曲面として「見える」のである。

この曲面を視覚化するために、Mathematica とか楓等の軟が使われるが、より詳しく見ようとすると、困難に遭遇する。軟による又黒像のお絵描きは、源平面の格子点に於ける近似値を使って描くので、格子を細かくすれば時間がかかり、近似を上げればまた時間がかかるからである。しかし、考えて見ると、絵を描くためには所詮離散化は避けられない訳だから、賢い離散化が望まれる。

賢い離散化とは何か。滑らかな雛形を闇雲に格子点近似をするとか、微分方程式を闇雲に差分化するのでなく、滑らかな雛形(微分方程式)のどういう性質(不変量)を保ちたいのかを明確にした離散化である。我々の又黒写像では、保ちたいものは、有限なところでは特異点の形状と無限遠に於ける漸近挙動である。

上記のような問題意識を持った視覚化・離散微分幾何という分野があることを教えられ、現在、微分幾何の佐々木武(元神戸大)、山田光太郎(9大)、離散微分幾何のWayne Rossman(神戸大)、Tim Hoffmann (9大)等と共同研究体制に入ったところである。

これは、私(及び佐々木武)が長年研究してきた超幾何微分方程式に代表される特殊微分方程式と視覚化との(思いがけない)出会いである。一般論は色々あるが面白い例に事欠く、離散微分幾何への豊富な例の提供源になるであろう。

現在、超幾何微分方程式の非常に特殊な合流型である絵有方程式の又黒写像の賢い離散化が出来つつある。文末の図参照。
一般の超幾何微分方程式及びその合流方程式の又黒写像の離散化は今後の課題である。
又黒写像は一般的に尖端と燕尾と称される特異点を有する。離散曲面の特異点には先行研究が存在しない。離散特異点の一般論は不毛だろうが、又黒に表れるものは特別によい性質を持っているので、鋭意研究中である。特異点を有する曲面は応用上不必要と思われるかもしれないが、特異点とは通常点よりも情報(不変量)を多く持っている点のことなので、これを理解することは曲面を理解することなのである。又黒曲面はある変換で平均曲率一定曲面(石鹸膜)と移りあえるので、産業的応用も期待出来ると思われる。

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